干支にまつわるエトせとら 鼠編2
来年、令和2年の干支はネズミです。
ネズミは哺乳類ネズミ目(齧歯目)の数科の総称で、小さなものはペットでおなじみのハツカネズミ、スナネズミ、ハムスター、モルモット、大きなものは体長1メートル以上で体重も60キログラムにもなるカピパラもネズミの仲間です。
なんと世界中で1300種以上が生息しているそうです。
今回は私たちの暮らしにも馴染みのある、このネズミの仲間の四字熟語を紹介します。
●「鼯鼠五技」
①読み方
ごそごぎ
②意味
「鼯鼠(ごそ)」とは「むささび」のことをいいます。
むささびは空を飛ぶことができ、木を登ることができ、穴を掘ることができ、
川を泳ぐことができ、地面を走ることができるという五つの能力を持つ動物ですが
空を飛ぶことは鳥にはかなわない、木を登ることは猿にはかなわない、
穴を掘ることはもぐらにはかなわない、川を泳ぐことは魚にはかなわない、
地面を走ることは人間にも負けてしまいます。
このように、いろいろな特技を持っていても、突出した技を持っていないという意味です。
つまり、器用貧乏のこと言います。
③出典
荀子勧学
④同義語
鼯鼠之技(ごそのぎ)
螻蛄之技(ろうこのぎ)
※螻蛄(ろうこ)はおけらのこと。
おけらもムササビ同様、五つの能力を持っているが、すべて中途半端です。
ムササビはネズミと同様に齧歯目でリス科に属します。日本では本州・四国・九州に生息していますが、近年は森林の減少などでその数を減らしています。
左右の前肢と後足の間には大きな皮膜があり、この皮膜をうまく使って樹木の間などを滑空することができますが、滑空距離は10m程の高さから、無風状態では15~20m 、風にのれば100~200mもの距離を滑空することができると言われています。
●「偃鼠飲河」
①読み方
えんそいんが
②意味
偃鼠(えんそ)というのはモグラあるいはドブネズミのことをいいます。
モグラが黄河の水を飲むという意味で、自分の器量や能力をわきまえ、相応のところで満足し、身の丈にあった暮らしをすべきだという教訓。
古代中国の伝説上の聖天子『尭帝(ぎょうてい)』が、賢者『許由(きょゆう)』に天子の座を譲ろうとしたところ、許由は自分をモグラにたとえ、「モグラは大きな黄河の水を飲んでも、すぐに満腹になる」と言って、自分が今の生活に満足していて、これ以上何も望んでいないことを示し、尭帝の提案を断ったという逸話があります。
③出典
荘子 逍遥編
佐藤煒水