干支にまつわるエトせとら 丑編2
牛にまつわる故事(四字熟語)の第2回目は正月らしいものを二つ選んでみました。
●「食牛之気 」
①読み方
しょくぎゅうのき
②意味
牛を丸呑みするほどに意気盛んという意味から、心構えがこの上なく大きいことをいう。
子どもの時分から、大きな野望を秘めていること。また、優れた人物は、幼い時から傑出しているということ。
虎や豹(ひょう)は子どものうちから、大きな牛を食べようとする気概を感じさせるという意味から。
③出典
杜甫「徐卿二子歌」
この詩は杜甫の友人である徐卿の二人の子供を詠じたものです。
この詩の頸聯(けいれん)に「小兒五歲氣食牛(小児五歲 氣は牛を食う)」という句がある
●「犂牛之子」
①読み方
りぎゅうのこ
②意味
地位や身分の低い家の生まれても、才能があれば世の中に認められるという意味
③出典
論語雍也篇(論語全二十篇の冒頭から始めて六篇目)
【原文】
子謂仲弓曰。犂牛之子。騂且角。雖欲勿用。山川其舎諸
【訓読】
子、仲弓を謂いて曰く、犂牛の子も、騂(あか)くして且(か)つ角あらば、用うること勿(なか)らんと欲すと雖(いえど)も、山川(さんせん)其の諸を舎(す)てんや。
【直訳】
孔子様が仲弓におっしゃった。
「まだら牛の生んだ子でも、毛が赤くて、角が見事でさえあれば、神前に供えられる資格は十分だ。人がそれを用いまいとしても、山川の神々が決して捨ててはおかれないだろう」
【現代訳】
孔子は弟子の仲弓に、入り混じった毛色の牛の子でも(生まれた身分が低いこと)、毛色が赤で角がまっすぐであれば(才能のたとえ)、祭祀の供物に使うことができる素晴らしい牛(世の中に役に立つ立派な人間とみられること)として重宝される。
④語注
犂牛:毛の色がまだらな牛のこと(家柄・身分が低いこと)
⑤同意語
「犂牛之喩(りぎゅうのたとえ)」
佐藤煒水