水明のお宝発掘シリーズ「水明会館図書紹介」その5
今回も先回に引き続きまして、少し変わった本を紹介しましょう。
今回紹介する本は『段氏説文解字注(だんしせつもんかいじちゅう)』です。
説文解字とはなにやら難しそうな名前ですが、世界最古の部首別漢字字典のことです。
後漢の永元12年(A.D.100年)の許慎(きょしん)によって編纂され、
建光元年(121年)に許慎の子の許沖(きょちゅう)によって完成したといわれています。
内容は漢字の成り立ちを解説したもので、10,000字近い漢字が収録され、部首別に編纂されています。
これは、現在の漢和辞典の部首の発想と同じです。
『段氏説文解字注』はこの「説文解字」に注釈をいれたものです。
今は漢字の成り立ちは、加藤常賢先生に「漢字の起源」や白川静先生の「字統」で調べますが、
これらの著書もこの「説文解字」を基礎に作られています。
なお、段氏とは中国清代中期の考証学者で段玉裁(だんぎょくさい)のことです。
水明会館にある『段氏説文解字注』は6分冊に分かれていて、函は古びていますが中身はとてもきれいです。
下の写真:
同じものを筆者も持っています。こちらは大判で1冊に収められて2色刷りです。
佐藤煒水