えとにまつわるエトセトラ「うさぎ」
来年の干支は「卯(う・ウサギ)」です。 そこで、「兔(ウサギ)」に関する故事や四字熟語を紹介したいと思います。 ウサギは、学術的に言って最も広義には兎形目、狭義にはウサギ科の総称です。 この兔の一番の特徴は他の哺乳類と比べて、極端に耳殻が大きなことです。 この耳殻の大きなことはもちろん音を聞き分けるのに有効ですが、耳を動かし、 風にあてることで体温調節ができる利点もあるそうです。 (ウサギを表わす漢字には「兔」と「兎」がありますが、「兎」は俗字です。 したがって、以下では、「兔」と記しています)
1.【狡兔三窟(こうとさんくつ)】
意味 悪知恵のはたらく兎は、隠れるための穴を三つ用意しているという意味で、身を守るために用心深くたくさんの逃げ場や、策略を用意しておくことをいう。
出典 『戦国策』
※ 戦国時代 の遊説の士の言説・国策・献策などの逸話を国別に分類し編集した書物。 前漢 の 劉向( 紀元前77年 〜 紀元前6年 ) といわれ ている。
類義語 「狡兎三穴(こうとさんけつ)」
2.【兔角亀毛(とかくきもう)】
意味 頭に角の生えた兎、甲羅に毛が生える亀という意味で、この世界に存在するはずのないもののことをいう。
出典 楞厳経(りょうげんきょう)
大乗仏典の一つ。唐の則天武后の時代(690〜704)に,インドから伝わったといわれる。
類義語 「烏白馬角(うはくばかく)」 亀毛兎角(きもうとかく)
★余談ではあるが、 他の事柄は別問題としてという気持ちを表す「何はともあれ・いずれにしても」の意に使う「ともかく」は、この四字熟語から由来している。
3.【烏兎匆匆(うとそうそう)
意味 歳月が速くたつことをいう
古代中国の伝説では太陽には三本足の烏が棲すんでおり、月には兔が棲んでいるというものがあり、「烏」は太陽のこと「兎」は月を意味する。したがって「烏兎」は歳月・月日の意である。
また、「匆匆」は急ぐさま、あわただしいさま。「匆匆」は「怱怱」とも書く。
出典 特に出典はないが、多くの漢詩文に用いられている。
類義語 「烏飛兎走(うひとそう)」 「露往霜来(ろおうそうらい)」
佐藤煒水