干支にまつわるエトせとら 寅編

来年の干支は「寅(とら)」です。

そこで、今年も「虎」に関した故事や四字熟語を紹介したいと思う。

虎は世界最大のネコ科の動物で体長約二メートルから大きなもので三メートル以上に達すると言われています。

古代中国人は虎には特別の畏怖の念をもっていたようで、「山獣の君」と呼んでいました。

そのため、虎の勇猛さ獰猛さをあらわす四字熟語は枚挙に遑がない。

 

●「苛政猛虎 」

①読み

かせいもうこ

②意味

悪政は人を食べる虎よりも人々を苦しめるという意味で、よく悪政を戒める言葉として用いられます。

「大学入試」にも引用される有名な文章で、出典は論語の「苛政は虎よりも猛し」です。

これは、孔子が山中を歩いているときの話で、一人の女性が墓の前で泣いているのを見ます。泣いている理由を尋ねると、その女性は「以前,舅と夫が虎に襲われ殺されました。そして今、息子が虎に襲われ殺されました」と答えました。

孔子が「なぜこのような危険な地を離れないのか」と聞くと、女性は「この地は悪政がしかれていないから」と答えます。

それを聞いた孔子は弟子たちに「人民にとって苛政(過酷な政治)は虎よりも恐ろしいものだ、心に刻んでおきなさい」と諭したという物語です。

 

●「狐仮虎威 」

①読み

こかこい

「狐 虎威を仮る」と訓読する

②意味

有力者の権威をかさに着ていばるつまらないものの喩え。

 

虎に捕まって食べられそうになった狐が「自分は天帝から百獣の王になるように命じられた。

嘘だと思うなら後ろをついてくればよい」いいます。そして、狐は虎を従えてゆっくりと歩きます。

周りの獣は狐の後ろにいる虎に恐れおののき逃げ出します。虎は獣たちが狐を見て、恐れおののいているのだろうと勘違いして狐の話を信じ、狐を捉えるのを止めるという話です。

出典は戦国策です。

 

注)戦国策とは

前漢末に劉向が編纂した歴史書。戦国時代(紀元前5世紀 – 紀元前221年)のときの遊説の士が、戦国七雄の政治への参与を企てた策謀を集めたもの。

 

 

佐藤煒水

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