干支にまつわるえとせとら「辰」

来年の干支は「辰(タツ)」です。

そこで、今年も「龍(リュウ)」に関した故事や四字熟語を2.3紹介したいと思います。

なお、「りゅう」は常用漢字では「竜」と書きますが、これは俗字なため、ここでは「龍」という漢字を用いることとします。

 

龍は、上にあげた「金文」からもわかるように、大きな口を開けた顔と身体からなる象形文字であり、「玄武」「朱雀」「白虎」とならんで「四霊」と呼ばれます。

また、龍の姿は角・鬣(たてがみ)・するどい爪を持ち、巨大な爬虫類の形をしていて、雲を呼んで天に上り、あるいは淵に潜む水神とも考えられています。

ドラゴンは口から火を吐くが,龍は水をつかさどる神(竜神)であり、そのためか龍はよく天子や英雄豪傑に喩えられます。

 

 

 

1.【画龍点睛】

★読み  がりょうてんせい(がりゅうてんせい)

★意味  物事を完璧かんぺきなものにするための最後の仕上げ

★出典  『歴代名画記』

※ 唐の官僚である張彦遠(ちょうげんえん)が著した画論・画史で、先史から唐朝までの絵画資料が広く集められています。

梁の張僧繇(ちょうそうよう)という画家が、金陵(今の南京)の安楽寺に四匹の白竜像を描きました。その竜には瞳がありませんでした。「瞳を描くと、空に飛んで行ってしまう」というのですが、人は信じません。無理に瞳を描いてもらったところ、瞳を書いた二匹が天に昇ってしまい、まだ瞳を描いていない二匹だけが残ったといいます。

★余談  「画龍点睛」の「瞳」を誤って「晴」と書いた篆刻作品をよく見かけます。気をつけたいものです。

 

 

2.【臥竜鳳雛】

★読み  がりょうほうすう(がりゅうほうすう)

★意味  「臥竜」は池に潜む龍、「鳳雛」は鳳凰の雛で才能を発揮する機会がなく、世間に知られていない英雄や賢者のこと。

★出典  『三国志』「蜀志・諸葛亮伝」

蜀漢の劉備(りゅうび)が有能な人材を探しているとき、司馬徽(しばき)という人物が諸葛亮(臥竜)と龐統(ほうとう)(鳳雛)を推薦した故事より。

 

 

3.【雲龍井蛙】

★読み  うんりょうせいあ(うんりゅうせいあ)

★意味  地位や知恵の差が非常に大きいこと。大空を翔る竜と井戸の中にいる蛙という意味で、竜は地位の高く人、蛙は低いことのたとえ。

佐藤煒水

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